産学官連携

最近、産学連携の動きが盛んである。
何故だろうか。
ここでは企業研究者の立場で論を進める。
今、エレクトロニクス企業の研究者は研究のコアを失っている気がする。
1970年代後半から世界の企業(勿論、日本企業も)は半導体一色に染まっていた。
もちろん半導体を用いたコンピューター事業も盛んであったが、主にハードでは一時米国抜いたと思うこともあった。
しかし、2000年に入り、半導体が「産業の米」でなくなると企業の研究は軸を失い、何をやっていいのか暗中模索の状態が続いている。
さらに2010年代になると、第三次AIブームが起こり、草木もなびくように乗り遅れまいと、産学官挙げて国のプロジェクトをぶち上げた。
古くは第五世代コンピュータナノテクノロジーPJと同じ動きである。
果たして上手く行くのだろうか。
正に「形から入るマネージメントの限界」の恐れがある。
マネージメントの視点では組織を作り、お金も用意した、さあ、これからは研究者個人の責任ですよと云わんばかりである。
これは、今まで幾度も歩いてきた道である。
常に、マネージャは失敗しても責任を取らない。
上手く行ったら「形」を作った人の成果になる。
そしていつの間にか、マネージャーはいなくなる。
何回同じ失敗を繰り返すのか。
また、ここにきて産学連携の動きがゾンビのように起こっている。
これも、マネージメントサイドが仕組んだ「誤魔化し」だろう。
研究テーマの軸を企業では作れないので、有名大学(東大、京大等)の権威を借りて、何かやっている雰囲気を醸し出す。
企業の社長、会長が学長と握手している写真を撮ってばら撒けば両者にとって悪くはない。
教授も研究費が貰えるから満足である。
二流の研究者はそのような鳴り物入りで起こった組織で働くことを誇りに思うかもしれない。
しかし、一流、一流を目指す研究者はそれで満足するだろうか。
大学の中に研究室を設け、教授の指導のもとに学生たちと研究を進めることに甘んじることができるか。
企業の一流の研究者は研究テーマを自分で考えることに生きがいや喜びを感じる生き物である。
遅れているのだから、まず、先生から学ぶことに意義があるという意見もある。
外に組織を作ってしまうと研究者のモチベーションはズタズタになる。
将来、大学に出たいと思う研究者はコネクションを作る上で絶好のチャンスであろう。
研究者の人数を減らすためには良い施策である。
しかし、それでよいのだろうか・・・・・。
苦しくても企業の研究者は自分の研究テーマを自分で見出す努力が必要であり、それができなければ、研究は大学に任せ、大学の成果を事業化する「開発者」に徹した方が上手く行くだろうか。
できれば、日本の企業は自分の組織内に指導者として一流の学者、研究者を招へいし、自分なりの研究グループを作り、研究者に考えさせる雰囲気を作ることが重要であると思う。
今は企業の研究者にとって正念場である。
このテーマはいろいろの角度から見る必要がある。
若い研究者の意見を大いにインプットして欲しい。