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上手い質問

小林秀雄の言葉に「質問するというのは難しいことです。本当にうまく質問することができたら、もう答えは要らないのです。ベルグソンもそう言っています。」「批評とは上手に質問する技術である」というものがある。
これは、質問する側が、問題の本質を的確につかみ、答えも用意されており、答える側に自分の考えを再確認するとか、新たな視点からの回答を期待する場合に限り、上手な質問ができるという意味だろう。
このことを痛感したことが最近在ったので紹介する。
半導体関係の国の機関主催の会議である。「日本の半導体産業はどうしてここまで堕落したのか」という質問とそれに対する処方箋の討論会である。その討論を聞きながら、上記の小林秀雄の「上手な質問」の言葉が頭を過った。半導体はあらゆる機器に搭載されているのだから必要である。もっとシステム側がキラーアプリを考えていただきたい、システム側には考えられる人がいないのだから、半導体チップ側で考えなければならない・・・。
何時もながらの、システム vs 半導体、の構図である。それに、最近は国の責任とか経済システムとか、国会答弁的、一見真摯、前向きな言葉が羅列される。
十数年前に半導体国際学会のパネル討論で聞いた枠組みに酷似した討論内容である。
今まで上手くいかなかったのだから、別の視点を導入するとか、経済学者や政治家等々の意見もない。
要するに「上手い質問」をする人が居ない。ただ、決められた時間内で真摯な討論をやりましたという実績(?)が残り、後は、難しい問題だねというため息が漏れた会議、・・・・・。
これでは何回やっても「上手い答」は出ない。
しかし、これが現実である。

武田 英次
知謝塾 塾長