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「偶然の必然」を知る――知謝塾&池袋コミカレ講座第五回 横山禎徳さんの講演を聞く(1)

先週土曜日、池袋コミュニティカレッジでの知謝塾公開講座第五回は、長らくマッキンゼー・ジャパンのトップを務めた大物ビジネスコンサルタント、横山禎徳さんをお招きし、参加者各位ともども、たいへん有意義なひと時を共有することができた。
集客は満員御礼とはいかず、毎度のことながら、ご多忙を押して駆けつけてくださった横山さんには申し訳ない限りであった。しかしながら、それは元々見切り発進でのエクスペリメントとして大目に見ていただくとして開き直って申すならば、このエクスペリメントは誠に貴重な「創発」の場であった。

終了後、多くの参加者が興奮気味に「素晴らしかった!」とおっしゃっていた。まさに異口同音と言うべき、この熱いリアクションは、ただ事ではなくて主催側の自分の方が面を喰らったほどである。どうやら、参加者の過半数を占める理系的知性、特にマネージャーとして現場で指揮を執るような円熟段階にいる方々にとって、今回の横山さんの「人生論」はジャストミートの内容だったようだ。実際、講演から懇親会にかけて会場はそんな知的熱気に満ちていた。

もとはと言えば、横山さんは、ダイヤモンド社の岩崎さんからご紹介いただいた。ハーバードビジネスレビューをずっと仕切ってきた文字どおり名編集長である。そんな人物の推薦を受け、今をときめくマッキンゼーブランドに少し後ずさりしながら謁見した横山さんは、「自分はコンサルタントなどではない、社会システムデザイナーだ」と言ってのける磊落なキャラクター。何と言うことはない、毎度、知謝塾のステージに登場していただいている他の諸先生方と同じカテゴリーに属する「知の探究者」である。ただし、ちょっとドスの利いた、ヤンチャな芸風が誠にオリジナルであり、それ以上にチャーミングな「知の探究者」であった。

昨年5月、小金井での講演会では、国会原発事故調での顛末がテーマであった。
最もタイムリーな問題について、研究者・技術者を相手に堂々3時間にわたって熱弁振るう独演会で、終了後の懇親会にもお付き合いいただき、立場や身分を越えた本物の「知の探究者」たる境地を存分に思い知らせてくれた。

それが今回の池袋コミカレとのコラボの公開講座へご出馬依頼につながった。日程を決め打ちでのオファーということもあって、正直なところ恐る恐るお願いしてみたのだが、二つ返事でご快諾いただいた。しかも、「その日は東大のEMP講義があるが、調整する」とだけ、事も無げにおっしゃるので逆に恐縮してしまう。
そう、横山さんは、東大の社会人向けエリート養成コース(などと言うと、ご本人からお叱りを受けるかもしれないが・・・)、EMP=エグゼクティブ・マネジメント・プログラムの企画立案から運営・実施、さらにご自身でも多くの講座を受け持っているのである。このカリキュラムは数年前まで東大総長を務めた小宮山宏氏の肝煎りで始められた東大改革の本丸とも言える施策であり、大企業、官公庁、ベンチャー起業家など、多種多様な次世代リーダークラスの人材を定員25名に絞り、しかもわれわれ庶民には破額とも思える高額な授業料を条件として集めているというflagshipプロジェクトなのである。

と、かように比類なきプロフィールを持つ横山さんであるが、ご本人はマッキンゼーも東大も関係ない、あくまでも真っ直ぐな個人ブランドの方である。
その横山さんがわれわれの知謝塾に格別なご厚情を寄せてくださるのは有難い限りだが、お話を聞けば聞くほど、そのお考えが「企業でも、大学でも得られない実践知」という知謝塾のコンセプトと重なり合うことに驚く。
改めて「偶然の必然」とも言うべき特別な縁を感じるばかりである。

(続く)
(文責:飯塚)

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